第3巻 巻頭言(Editor's Message)

昔話から始めます. 今の多くの方々は「カストリ雑誌」という言葉をご存じないでしょう. かくいう私も,この言葉が使われた時代には幼児でしたので, 後から仕入れた知識です.

太平洋戦争が終わって,食べ物やアルコールだけではなく, 情報に飢えていた大衆を目当てとしたさまざまな雑誌が, それこそ雨後の筍のように乱立しました. その中の一部は(というよりも,そのほとんどが)装丁も内容もあやしげなものでした.
しかし,Webサイトを始めるのと同じことで,内容の如何にかかわらず, 創刊は簡単でも,それを継続することは決して容易ではありません. そのため,多くの雑誌が3号まで出たところで消えていきました.
当時,アルコール不足を補うため, メチルアルコールや工業用アルコールをまぜた粗悪な酒も, カストリと称して出回っていたということです. そうした酒を3合(これも「540ミリリットル」との注記が必要でしょうか) も飲むと目がつぶれる(「酔いつぶれる」という説もあるようです), ということで3号でつぶれるような雑誌をカストリ雑誌と呼ぶようになったわけです.

七五三も,幼くして亡くなる子が多かった時代に, まず3歳まで無事に育ったことを神や仏に報告し, 感謝する行事というのがその趣旨です. こうしてみると,3年というのは最初の重要な目標であり,通過点であるようです.
わが芸術科学会論文誌も,この一里塚に到達しました. ここまで育てていただいた,投稿者,査読者,編集者の方々に心からお礼を申し上げます.

このジャーナルが,3号の発刊で安心するような存在でないことは言うまでもないと思います. 世の中に学会誌は星の数ほど存在するでしょうが, 画像を主題とする学会誌でありながら,うっかりカラー画像1枚を入れたばかりに, 請求書を見て後悔するようなものもあるようです.
しかしこのジャーナルは,カラー画像はもちろん, 動画像もふんだんに掲載することのできるジャーナルです. コンピュータグラフィックスの研究や作品の価値は, それによってどのような画像が作れ,どのような動画が作れるのかで判断するべきです. そういった意味で,他の学会誌のお手本となるのだという意気込みで,刊行を続けて参ります. どうか今後も皆様方のご支援をお願い致します.

大野義夫
副会長・論文賞選定委員

論文委員

伊藤貴之(委員長), 牧野光則(副委員長), 菊池司(副委員長), 今間俊博, 永江孝規, 中嶋正之, 春口巌

査読者 (あいうえお順)

伊藤貴之, 遠藤守, 大野義夫, 恩田憲一, 加藤博一, 金田和文, 菊池司, 栗山繁, 桑原明栄子, 児玉幸子, 小山田耕二, 近藤邦雄, 齋藤豪, 白井暁彦, 角文雄, 高木佐恵子, 高橋裕樹, 竹島由里子, 千葉則茂, 辻合秀一, 鶴野玲治, 土井章男, 土井淳, 戸川隼人, 土橋宜典, 永江孝規, 中嶋正之, 西原清一, 西本一志, 春口巌, 福井幸男, 藤本忠博, 舟橋健司, 茅暁陽, 牧野光則, 増田宏, 宮崎慎也, 宮田一乘, 村岡一信, 安田孝美, 山田雅之, 山内結子, 山守一徳


注意: 本論文誌に掲載された論文の著作権は、原則として著者にあります。 複写等の際には著者の許諾が必要となります。ご了承ください。

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Last updated: 2004/12/20