第20巻 巻頭言(Editor's Message)

 芸術科学会論文誌は2021年に第20巻を発刊することができました。第1巻の発行が2002年ですので、20年目という節目を迎えることができたこと。これも、会員や関係者のご尽力の賜物であり、論文誌を代表しまして感謝申し上げます。

 昨年2020年は、コロナ禍により、日常生活や勤務形態など、社会における様式の変化に見舞われた年でした。感染予防と感染拡大防止のための新しい生活様式の重要性は世界中で共有され、ポストコロナ時代の展望をどう描くかは、世界全体の重大な関心ごとです。コロナ禍において、リモートでのコミュニケーションの難しさや不便さを痛感した方も多くおられることと思います。新しい生活様式におけるコミュニケーションのありかたは、文化や意識、精神面において非常に大きく問われることになりました。

 芸術科学会論文誌は、芸術と科学の領域における貢献を目的としており、構造的にコミュニケーションの問題に直接的・間接的に向き合う性質を有するものであると考えます。この領域における研究によって生まれる新しい価値観には、コミュニケーション/コミュニティの発展に寄与する要素が多く含まれており、将来のスタンダードに資する重要なヒントが秘められているものと信じています。本論文誌が、多様な研究が交差するプラットフォームとして機能すること、論文や作品の発表を通して、新しい価値観を育む場として機能することを心から願っています。

 20年目の論文委員長という大任を拝すること、大変光栄に存じますが、同時に自分の至らなさを痛感しております。これまでの先達に学びつつ、さらなる将来に向けてどのような展望を描くことができるか。これは私の力量をとうに超えた問題ですので、この文章を読まれている皆様と一緒に手探りで楽しみながら少しずつ描いてゆきたいと考えています。今後とも積極的なご支援のほど、よろしくお願いいたします。

松山 克胤


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Last updated: 2021/3/10