第12巻 巻頭言(Editor's Message)

平成23年3月11日に発生した東日本大震災から,この6月で2年と3か月の月日が経過しました. 犠牲者や行方不明者は二万人近くにも及び,また,原発事故では今なお多くの方々が避難を余儀なくされています. 改めてこの大震災により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに,すべての被災者の方々に心からお見舞い申し上げます.

芸術科学会では,学会員の皆様に科学技術,芸術,文化,および芸術科学会の活動における新しい情報を提供するため, 芸術科学会誌DiVA"Digital, Interactive and Visual Arts"とこの芸術科学会論文誌を発行しています. 特に本論文誌は,芸術,科学の両分野にまたがる幅広い基礎研究,応用研究に関する論文の投稿数も年々増え, 多くの学会員の皆様のご尽力もあり,毎号多くの良質な論文が掲載されております. この場をお借りして,皆様に厚く御礼申し上げます.

どのような分野にも言えることかとは思いますが,先の大震災の経験は学術界にも大きな影響を与えていると思います. 研究テーマの設定,研究の進め方,およびその成果がどのように社会に役立つのか,どのような影響を引き起こすのかなど, 震災以前よりも真摯に向き合い,考える姿勢が求められていると思います.すなわち,技術者倫理の重要性が増していると言えます. 今回の大震災の教訓は,従来の社会の在り方や人の考え方など幅広い問題に及ぶものであり, 被災地だけでなく我が国全体の課題として共有していくことが必要です.

そのような意味でも,芸術科学会が社会に対して発信している2つの発行物は,芸術と科学と社会との関係性, および芸術科学会が今後芸術と科学,および社会にどのように関わっていくのかを示唆しているものであり, 是非多くの方々にご一読頂きたいと思います.

教育,科学技術・学術,文化芸術の振興を目指した芸術科学会の活動には,学会員の皆様の御理解と御協力が不可欠です. 本論文誌が幅広く活用され,皆様の理解を深めていただく一助となれば幸いです.

菊池 司
論文委員長

1999年岩手大学大学院工学研究科電子情報工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).2000年拓殖大学工学部工業デザイン学科(現デザイン学科)助手.2004年同大学専任講師(現助教).2007年から2008年まで韓国・高麗大学客員教授.2009年拓殖大学工学部工業デザイン学科(現デザイン学科)准教授,現在に至る.コンピュータグラフィクスによるビジュアルシミュレーションと,それを応用した映像表現に関する研究に従事. ACM,芸術科学会,情報処理学会,画像電子学会,他会員.
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Last updated: 2013/6/15